大人の都合

新年度になるにあたり、僕はワクワクが止まらなかった。やっと子どもたちに英語を教えられるのだから。この時をどれほど待っていたことだろうか。教材研究を自分なりに頑張った。後は実践しながら、改善していくだけ。

園長先生から呼ばれた

その一言で僕の全てが押しつぶされた

【英語の件なんだけど、今年入社する新人に任せることにしたから】

一瞬で頭が真っ白になった。

何で僕ではなく入ったばかりの新人に任せるのか？まだ、何も成し遂げていない新人に

僕がどれだけ園のために尽くしたことか・・・」

こみ上げてくる怒りを抑えることがこんなにも難しいと思ったのは初めてだった。

しかし、僕も社会人。世の中が思い通りにいかないのは当たり前ということを熟知している。必死に表情に出さないように努めた

【新人が主になってやってもらうからあなたにはサポートをお願いするかも。新人が休んだときにはやらせてあげるかも】

その言葉に感情が爆発しそうになった

「ふざけるな！誰がやるか。バカにするな」

心の中で呟いた。ここで怒っても立場を悪くするだけ。グッとこらえて

「分かりました」と弱々しく返事をした

こうして、大人の事情により、僕はチャンスを失った。

実際、新人は幼い頃から英語の英才教育を受けてきたようでネイティブ並みだった

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